Gufo2/5の日記

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【米国株】週間米国株式市場まとめ(No. 0170:2025/11/03~11/07)

AmazonとOpenAIの提携は市場に何をもたらすのか?

こんにちは、Gufo2/5です。
先週の米国株式市場は、月曜日、短期金融政策の方向性が一段と不透明な中、AI関連取引が主因となり、S&P 500とNasdaq Compositeがともに上昇して取引を終えました。火曜日、大手銀行の警告で割高感への懸念が一段と強まり、主要3指数は大幅に下落して取引を終えました。水曜日、好調な企業決算と予想を上回る経済指標により、主要3指数は反発しました。木曜日、高まる経済的不確実性と過熱感のあるバリュエーション懸念が再燃し、主要3指数とも下落して取引を終えました。金曜日、経済不安、連邦政府の過去最長の閉鎖、高止まりするテクノロジー株のバリュエーションなどで、Nasdaq Compositeが下落して引け、S&P 500とDJIAはわずかながら上昇に転じました。

今週はCPI、PPI、小売売上高の発表が予定されています。長引く政府閉鎖もようやく解決の兆しが見え、株価反転となるのか気になるところです。

1.米国主要株価指数米国債金利


1-1.マーケット記事斜め読み(①市場関連)

11/03
  • きょうもまた、AI関連株が市場をけん引した。S&P 500をわずかに押し上げる程度ではあったが、数少ない機能しているテーマだった。
  • Amazon(AMZN:4.0%↗)
    • 同社がOpenAIと総額380億ドル規模の提携を結び、今後7年間にわたり、OpenAIのAI業務を支えるインフラとしてAWSクラウド基盤上でAIワークロードを運用・拡張できるようにすることを発表した。
    • AWSが依然として最大のクラウドサービスプロバイダーであることを踏まえれば、OpenAIがAmazonと提携するのはいつかではなく当然のことだった。(その上で)これまでAmazonに対する弱気論は、他のハイパースケーラーが主要AI案件を相次いで獲得する中で、AWSがその輪に入っていない点に集中していた。」(William Blair)
    • OpenAIとの提携に加え、前四半期に見られたAWSの成長加速、さらに10月下旬にAnthropicがAWSのTrainiumチップの利用拡大を決めたことにより、こうした弱気シナリオは崩れつつある。
  • Nvidia(NVDA:2.2%↗)
  • トランプ大統領と中国の習近平国家主席が、米中間の貿易戦争を緩和するための合意に達した。(ホワイトハウス
  • Amazonの契約やその他のM&Aニュースが市場を押し上げています。さらに週末には、中国との貿易関係やFRB当局者のハト派的な発言など、ややポジティブなニュースもありました。しかし、この相場はほぼ一貫して大型テックや半導体銘柄が主導していることは間違いありません。」(Baird)
  • Kimberly-Clark(KMB:14.6%↘)
    • 同社がTylenolメーカーのKenvueを400億ドル超で買収することを明らかにした。
    • Kenvue(KVUE:12.3%↗)
  • 先週の予想通りの利下げを経て、経済指標の欠如により、FRB次の一手は一層見通しづらくなっている
  • 第3四半期の決算シーズンは佳境に入り、S&P 500構成企業の300社超が決算を発表。そのうち83%がアナリスト予想を上回った(LSEG)
11/04
  • Morgan StanleyGoldman SachsのCEOが高騰するバリュエーションへの懸念を示し、市場バブルの可能性に言及したことで投資家心理が悪化。AIブームを背景にS&P 500が史上最高値を更新し続けてきただけに、過熱感が意識された。
    • 主要3指数はいずれもマイナス圏に沈み、S&P 500とNasdaq Compositeはいずれも10月10日以来、最大の下げ率を記録した。
    • JPMorgan ChaseのCEO、Jamie Dimon氏は先月、地政学的緊張などをその要因に挙げ、今後6ヶ月から2年の間に大幅な株価調整リスクが高まっていると警告していた。
    • 「投資家は久しぶりにバリュエーション(株価評価)を気にし始めたようだ。多くの企業の株価はかなり割高で、決算も良好ではあったが、非常に良いとは言えなかった。つまり、利益確定売りの材料になったということだ。」(Horizon Investment Services)
    • 「ここ1週間ほどは、AI関連以外の株が下がっており、S&P 500を支えていたのはAI銘柄だけだった。そこにAI関連株の上昇に対して警戒を促すニュースが立て続けに出たわけです。今回の下げは短期的な反応(knee-jerk selling)にすぎない可能性があり、これが大きな下落相場の始まりとは思わない。市場はAI関連のニュースに引き続き前向きだ。ただし、AIはバブルなのか否かという議論が決着していない以上、こうした一時的な警戒局面は繰り返されるだろう。」(Sevens Report Research)
  • リスク資産は軒並み打撃を受け、AI関連株だけでなく、暗号資産やミーム株、さらにはクルーズ船株まで急落。一方、債券市場では安全資産を求める動きが広がり、国債利回りは低下した。
    • 「株価は下がることもある。過去8年間で最長となる7ヶ月連続の上昇を経て、今回の調整は単なる自然なローテーションや利益確定の動きかもしれない。」(Mizuho
  • 議会の対立で政府機関の閉鎖(シャットダウン)が過去最長記録に迫っており、政府の公式データが不足している。重要な経済指標が欠ける中で、FRB高官の発言が細かく分析され、データ依存の中央銀行が今後どのように金融政策を形成していくかが探られている。
  • Palantir Technologies(PLTR:8.0%↘)
    • 「ソフトウェア企業として史上最高の決算」(同社CEOのAlex Karp氏)
    • 予想を上回る第4四半期の売上見通しを示した。
    • 今年に入り株価は152%以上上昇している。
  • UberUBER:5.1%↘)
    • 四半期決算で利益が予想を下回った。
  • Henry Schein(HSIC:10.8%↗)
    • 通期利益見通しを上方修正した。
11/05
  • 幅広い銘柄に買いが入り、主要3指数すべてが上昇。
  • 「資産価格はかなり高く、相場が下落するリスクは常にある。」(JPMorgan Chase CEO、Jamie Dimon氏)
  • 「バリュエーションへの懸念は極めて妥当であり、短期的に10~15%の調整はいつ起きてもおかしくない。ただし、投資家の間では下げても一時的で、すぐに戻るという心理があり、押し目買いを続ければ心配ないというムードも根強い」(Wealthspire Advisors)
  • 最高裁は、トランプ大統領による市場を揺るがした関税措置の合法性について疑問を呈し、その権限の範囲を試す世界経済的に重要な訴訟となった。
    • この裁判の焦点は、トランプ大統領国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act)を不適切に用いて、米国の貿易相手国に関税を課したかどうかという点にある。
    • 最終判断までは時間がかかる見通しだが、判事たちの質疑応答を見る限り、トランプ大統領の関税政策に対して疑問を投げかける内容が多かった。もっとも、質問内容が必ずしも最終投票行動を示すわけではない。
    • 報道によると、注目すべきやり取りの一つで、最高裁のロバーツ長官(共和党指名)は、リベラル派判事と歩調を合わせるように関税は課税の一形態であると主張した。政府側は関税は大統領の外交権限の一部であり、課税権は大統領ではなく議会にあると反論している。
    • 「確かに関税は外国との取引に関係するが、実際の仕組みは米国民に課す税であり、それは常に議会の中核的な権限だ。議会の明確な委任なしに関税を発動するのは問題だ。」(最高裁のロバーツ長官)
    • 同じく共和党指名のバレット判事とゴーサッチ判事も、政府側に厳しい質問を投げかけた。
    • 最高裁が関税を違法と判断しても、トランプ政権には他の手段が残されており、一定の制約はあるものの、輸入品に新たな課徴金を課す余地は残る。
    • 回、関税を緩和するのはトランプ大統領自身ではないかもしれないが、もし次の政権が関税を引き下げれば、市場に再び反発の流れが生まれる可能性がある。
  • 中国政府は、米国製品に対する報復関税の一部を撤廃すると発表したが、トランプ大統領が「解放の日」と呼んだ4月2日以降に課された10%の関税は維持。米国産大豆には依然として13%の関税が課される。
  • 議会での膠着状態により、米政府の史上最長の閉鎖が続いており、投資家やデータ依存のFRBは民間部門の統計に頼らざるを得ない状況だ。
  • 第3四半期の決算発表は終盤戦に入りつつあるが、S&P 500構成企業のうち379社が決算を公表し、そのうち83%が市場予想を上回った。(LSEG)
    • アナリストは、S&P 500全体の7~9月期の利益成長率を前年比16.2%と予想しており、これは期初の8.0%から大きく上方修正されている。
    • 「今回の決算期は、売上・利益・ガイダンスいずれも予想以上に堅調だ。雇用統計の弱さや関税の影響不透明感がある中でも、企業の底力は示されている。11月と12月はもともと株式市場にとって好調な月であり、この追い風が続く限り、悪材料で流れが変わるとは考えにくい。」(Chase Investment Counsel)
  • McDonald’s(MCD:2.2%↗)
    • 既存店売上高の予想を上回り、割安メニューが需要を押し上げた。
  • Match Group(MTCH:5.2%↗)
    • 第4四半期売上見通しが市場予想を下回った。
  • Amgen(AMGN:7.8%↗)
    • 利益が上振れた。
  • Bank of America(BAC:2.0%↘)
    • 収益目標を引き上げた。
  • Humana(HUM:6.0%↘)
    • 第3四半期決算発をした。
  • Johnson Controls(JCI:8.8%↗)
    • 2026年の利益見通しが予想を上回った。
  • Super Micro Computer(SMCI:11.3%↘)
    • 業績に対する失望が高まった。
11/06
  • 労働市場の弱いデータが投資家心理を冷やし、過去数ヶ月にわたる相場上昇を牽引してきたAI関連株が軟調。株式市場全体に売りが広がる一方で、債券への資金流入が加速した。
    • 「バリュエーションは長期的には依然として懸念材料だが、市場全体としてはまだ強気だ。今週初めに1~1.5%の調整があったが、その翌日には80bps戻した。つまり、押し目買いの姿勢はいまだ健在だ。」(Murphy & Sylvest)
    • これら二つの報告(Challenger, Gray & ChristmasとRevelio Labs)は、米国の雇用市場が厳しい局面にあることを示唆しており、多くの投資家が安全資産である米国債に逃避した
  • 第3四半期の決算シーズンは終盤に入り、S&P 500構成銘柄のうち424社が発表を終えた。そのうち83%が市場予想を上回る業績を報告している(LSEG)
    • アナリストは現在、S&P 500の7~9月期の利益成長率を前年同期比16.8%と予想しており、四半期初に予想されていた8.0%から大きく上方修正された。
  • DoorDash(DASH:17.5%↘)
    • 経費増加によって第3四半期の利益が市場予想を下回った。
  • Elf Beauty(ELF:35.0%↘)
    • 通期の売上・利益見通しを下方修正した。
  • Snap(SNAP:9.7%↗)
    • 第3四半期の売上が予想を上回り、Perplexity AIとの提携を発表した。
  • 政府閉鎖はすでに40日近くに及び、史上最長となっている。ただし、終息に向かう兆しもわずかに見え始めている。報道によると、一部の民主党議員は妥協案を模索しているが、選挙結果が好調な派閥は医療補助金をめぐって強硬姿勢を続ける構えだ。
  • トランプ政権は明日から主要40空港で航空便を10%削減するよう指示を出しており、事態にさらなる圧力をかける狙いとみられる。Delta、American、United、Southwest Airlinesはいずれも、FAAの命令に沿って運航スケジュールを縮小することを確認した。
11/07
  • 史上最長となった政府閉鎖をめぐる議会の膠着状態に進展の兆しが報じられた。
    • 民主党が、医療補助金を1年間延長する代わりに政府を再開する案を提示した。この提案は即座に拒否されたものの、事態が解決に向けて動き出した兆しとして注目された。
    • 「政府閉鎖の解決は投資家心理を明確に改善させるだろう。特に今のようにミスが許されない状況ではなおさらだ。株価は史上最高水準にあり、バリュエーションも高い。閉鎖問題が解決すれば、投資家の不安材料がひとつ減ることになる。上下動や調整局面は、ブルマーケット(上昇相場)では通常の流れの一部だ。」(U.S. Bank Wealth Management)
  • 株価は依然として割高感が強く、FRBの次の利上げ判断も不透明だ。雇用市場も指標によってひどいともそこそことも読める。
    • 「データが公表されない中での暗中飛行は投資家に重くのしかかっている。不確実性が一段と増している。企業業績は堅調だが、住宅市場は弱い。明らかに労働市場は軟化しており、投資家はまず売って、後で考えるという姿勢を取っているようだ。」(Carson Group)
  • 中国が新たなレアアース輸出ライセンス制度の策定に着手。輸出手続きの迅速化が見込まれるものの、ワシントンが求める全面的な規制撤廃には届かない見通しだ。
  • 今回の株価の動きは転換点を示唆している可能性もある。もし市場が政治交渉の進展に反応し始めたとすれば、新しい局面に入ったのかもしれない
  • Microchip Technology(MCHP:5.2%↘)
    • 予想を下回る売上見通しを示した。
  • Tesla(TSLA:3.7%↘)
  • Expedia(EXPE:17.6%↗)
    • 法人向け予約事業が堅調だった。
  • Block(XYZ:7.7%↘)
    • 第3四半期利益が予想未達となった。
  • Take-Two Interactive(TTWO:8.1%↘)
    • 人気ゲームGrand Theft Auto VIの発売延期(2026年11月予定)を発表した。

2.主要経済指標

2-1.マーケット記事斜め読み(②経済指標関連)

11/03
  • 政府機関の閉鎖が続き、公式な経済データが不足する中、ISM(全米供給管理協会)とS&P Globalが発表した購買担当者景気指数(PMI)では、米製造業がトランプ政権の関税政策による不確実性に引き続き苦しんでいることが示された。
11/05
  • ADP全国雇用報告によると、10月の民間雇用は4.2万人増と持ち直したものの、依然として一部業種では雇用減少が続いており、労働市場の弱さがうかがえる。
  • 別の調査では、米サービス業が拡大を続ける一方で、雇用減や3年ぶりの高水準となるコスト上昇に直面していることが示された。
11/06
  • 企業のレイオフが153,074人(前月比183.1%増加)と、過去20年以上で最悪の10月となったと発表した。1月から10月までの累計では、2024年の同期間比で65%増の約110万人に達し、2020年以来の高水準となった。さらに採用計画は2011年以来の低水準に落ち込んでいる。(Challenger, Gray & Christmas:人材アウトプレースメント会社)
    • 「Challengerのレイオフデータは失望的な内容で、労働市場FRBの認識以上のスピードで悪化している可能性を示唆している。これにより、パウエルFRB議長が議論の余地ありと述べた12月利下げ観測が再び織り直されている。」(Simplify Asset Management)
    • Challenger社の報告は、人員削減の要因として連邦政府の人員整理やコスト削減を挙げている。人工知能(AI)投資も一因の可能性があるが、多くのエコノミストAIの影響が労働市場に本格的に表れるにはまだ早いとみている。
    • 「AIが主因だとは懐疑的だ。AIの影響を受ける度合いが業種によって大きく異なるにもかかわらず、採用が全体的に鈍化しているのは景気循環的な要因と考える方が自然だ。根本的な需要が弱まる中で企業が人件費削減に動くのは悪循環であり、雇用増の鈍化は所得の伸びを抑えることになる。」(Citi)
  • 米国経済は先月9,100件の雇用を喪失し、その大半が政府関連だった。(Revelio Labs:労働市場分析会社)
11/07
  • 政府閉鎖の影響は、ミシガン大学が発表した11月の消費者信頼感指数の速報値にも表れた。指数は3年ぶりの低水準に落ち込み、現況判断は調査史上最も悲観的な結果(50.3)となった。全体のセンチメントは、2024年11月(トランプ大統領が2期目に当選した時点)から29.9%低下している
    • 「政府閉鎖が1ヶ月以上も続く中、消費者は経済への悪影響を懸念し始めています。今回の信頼感低下は、年齢・所得・政治的立場を問わず、幅広い層で見られました。」(ミシガン大学
    • 例外がひとつあり、それは多額の株式を保有するアメリカ人だ。この層の消費者信頼感は、堅調な株式市場を背景に11%上昇した。

2-2.マーケット記事斜め読み(③FRB関連)

11/03
  • FRB内では意見が分かれている。
    • さらなる利下げを支持する。(ミランFRB理事)
    • インフレ率が依然として2%の目標を大きく上回っている状況下での追加利下げに慎重姿勢を示した。(シカゴ連銀のグールズビー総裁)
11/06
  • 政府機関の閉鎖が続くなか、経済指標の発表が途絶しており、データ重視のFRBは今後の短期的な利下げの必要性を見極める状況にある。
11/07
  • 政府閉鎖によって経済指標の発表が止まり、FRB完全雇用物価安定という二重の使命の遂行を難しくしている。

3.投資状況


【ある長期投資家の独白】
AmazonとOpenAIの提携がありましたね。これまで、AmazonはAIブームの中心ではありませんでしたが、クラウドの巨人が漸くセンターに立った感があります。この提携は、Microsoft×OpenAI連合に対抗できる唯一の布陣として、クラウド事業とAI投資の両立で今後10年のクラウド市場・AIエコシステムの勢力図を左右する可能性がありますね。Amazonが提供するサービスだけでなくシステム全般がAIベースとなり、小売AIファクトリーのモデルとなるかもしれません。
政府閉鎖が最長を更新し、経済データの発表がない中、民間データは更なる雇用悪化を示唆しています。また、消費者の信頼感も大きく落ち込んでおり、企業収益に影響が及ぶ可能性もあり、気になりますね。

  • 購入:なし
  • 売却:なし
  • 配当金:なし

【過去記事】

最後まで読んでいただきありがとうございます。

では、また。

 

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【米国株】週間米国株式市場まとめ(No. 0169:2025/10/27~10/31)

好調な決算と金融政策の不透明感、今後の焦点はどこだ?

こんにちは、Gufo2/5です。
先週の米国株式市場は、月曜日、米中貿易合意の期待の高まりや確実視されるFRBによる利下げなどにより、主要3指数とも2日連続で過去最高値更新となりました。火曜日、S&P 500構成銘柄のおよそ40社が第3四半期の決算を発表し、業績への楽観が広がり、主要3指数がそろって再び史上最高値で取引を終えました。水曜日、FRBが利下げを実施しましたが、パウエルFRB議長のタカ派発言議長の発言を受けDJIAは下落、S&P 500はほぼ横ばい、Nasdaq Compositeは再び過去最高値で取引を終えました。木曜日、企業決算を受けてAI関連投資の急増に対する懸念が広がる中、主要3指数とも下落しました。金曜日、Amazonの好調な業績見通しなどで、主要3指数がそろって上昇して取引を終えました。

今週はPCEおよび雇用統計などの経済データの発表が予定されています。11月に入り企業決算も最終コーナーに差し掛かってきました。小売業各社の業績が気になるところです。

1.米国主要株価指数米国債金利

1-1.マーケット記事斜め読み(①市場関連)

10/27
  • マレーシアで行われた米中高官の協議では、主に関税をめぐる暫定合意に達したと伝えられた。
    • ベッセント財務長官は、ホワイトハウスが示唆していた最大100%の追加関税は発動されない可能性をほのめかした。
    • 「(マレーシアでの2日間の貿易協議後)中国による米国産大豆購入やレアアース輸出に関する合意が進展している。」(ベッセント財務長官)
  • トランプ大統領と中国の習近平国家主席は木曜日に会談し、米国の追加関税や中国のレアアース輸出規制を一時停止する枠組みを協議する予定だ。
    • 貿易戦争への懸念が和らぎ、VIX指数は約1ヶ月ぶりの低水準に下がった。
    • 「ベッセント氏のコメントと首脳会談の予定を受けて、米中関係改善への期待が一段と高まった。」(Wells Fargo Investment Institute)
    • 「(釜山で行われるトランプ・習会談について)レアアース輸出規制などを含む関税の一時停止や緊張緩和の動きが再び見られる可能性が高い。ここ数週間の一連のエスカレーションは、実際に緊張を高める意図というより、交渉上の優位を得るための動きと見るべきだ。」(Raymond James)
  • 第3四半期の決算シーズンも順調に進んでおり、S&P 500企業の約3分の1が発表を終えた段階で、予想を上回る決算が例年以上に多く、第4四半期見通しも明るい。AI関連分野を中心にテクノロジー企業の好調が続いていることも追い風だ。
    • 「この傾向が続けば、第3四半期の利益成長率は11%に達する可能性があり、第2四半期の8%を上回る見通しだ。」(UBS Wealth Management)
  • 今週後半には、いわゆる「Magnificent Seven(壮大な7銘柄)」のうち5社が決算を発表する。
    • 「今週の決算で市場が求めているのは、AI関連の設備投資が実際に収益や利益として表れていることの確認だ。」(Wells Fargo Investment Institute)
    • 「(2022年夏以来のテック強気派として)これらの大手テック企業が予想を上回る決算を出すと見ている。仮に株価が好決算でも上がらなければ、それは押し目買いの好機だ。テック関連の過熱感はいつか冷めるだろうが、それは今ではない。」(Laffer Tengler Investments)
  • Qualcomm(QCOM:11%↗)
    • データセンター向けのAIチップ2種を発表した。商業展開は来年から始まる見込みだ。
  • Tesla(TSLA:4.3%↗)
    • 米中協議への期待感から買われた。
    • 「仮に米中が最良の貿易合意を結んでも、Tesla株は依然として割高で、上昇は短命に終わる可能性がある。」(Synovus)
  • レアアース関連株は急落。米中合意への期待が高まり、今年同分野を押し上げてきた供給不安が後退したためだ。
    • Critical Metals(CRML:13.7%↘)
    • NioCorp Developments(NB:11.5%↘)
    • Ramaco Resources(METC:2.6%↘)
  • Keurig Dr Pepper(KDP:7.6%↗)
    • 年間売上見通しを上方修正し、オランダのコーヒー大手JDE Peet’s買収資金として約70億ドルを調達した。
  • Lululemon(LULU:1.8%↗)
    • NFLとの提携を発表した。
  • Janus Henderson(JHG:11.3%↗)
    • TrianとGeneral Catalystによる買収提案を確認した。
10/28
  • Nvidia(NVDA:5%↗)
    • 「当社は米国エネルギー省向けに7基のAIスーパーコンピューターを構築する予定であり、AIチップの受注総額が5,000億ドルに達している。」(CEOのJensen Huang氏)
    • 時価総額は2,300億ドル以上増加。企業価値が5兆ドルに迫る水準に達した。
  • Microsoft(MSFT:2%↗)
    • 同社がOpenAIの再編案で合意に達し、OpenAIに27%の出資比率を持つことになった。OpenAIは公益企業(Public Benefit Corporation)として再構成される。
  • 「モメンタムと好調な決算が市場を押し上げている。決算は総じて良好だ。もちろん、われわれはビッグテックの結果を待っているところだ。」(Spartan Capital Securities)
  • 「2024年以降、企業利益は常に市場コンセンサスを上回るペースで成長してきた。これまで発表された決算内容は、第3四半期のGDPにも良い影響を与えるだろう。」(Global X)
  • トランプ大統領と中国の習近平国家主席は、米国が中国製品への関税を引き下げる代わりに、中国がフェンタニル前駆体の輸出抑制を約束するという枠組みを協議する見通しだ。(The Wall Street Journal
    • 「交渉議題が多岐にわたるため、合意がすぐに実施されるのか、それとも数ヶ月かけて段階的に進むのかは不透明だ。」(Barron’s
  • トランプ大統領は東京で日本初の女性首相である高市早苗氏を称賛し、重要鉱物やレアアースの供給強化を目的とする協定に署名した。両国は、電子部品の一部で中国依存を減らすことを目指している。
  • S&P 500採用企業のうち180社の決算が出そろい、第3四半期の利益は前年同期比で10.5%増と、当初予想を上回る伸びを示している(LSEG)
  • United Parcel Service(UPS:8%↗)
    • 予想を上回る決算を発表し、大規模な経営改革が順調に進んでいる兆しを示した。同社は数百の施設を閉鎖し、数千人の雇用を削減、組合員ドライバーに希望退職を提示するなど、2025年に35億ドルのコスト削減を目指している。
10//29
  • 本日のFOMCを前に、市場では12月の追加利下げの確率が90%を超えていた。しかし、その見方は急転。パウエルFRB議長が本日の0.25ポイント利下げに続く追加利下げは、既定路線ではないと発言したことで、予想は一気に修正された。ややタカ派的な発言を受け、株式市場は下落に転じた。
    • 「パウエルFRB議長は追加利下げが確定事項ではないと述べたが、そもそも利下げが確定的になることはない。FRBはデータ次第の判断をするという意味で、妥当な発言だ。」(Wealthspire Advisors)
    • 「利下げ自体は織り込み済みだったが、パウエルFRB議長の発言が市場の熱気をやや冷ました。しかしこれは一時的な反応であり、最終的に株価を動かすのは企業業績だ。その業績は堅調だ。(Angeles Investments)
    • 今期これまでの米企業決算では、予想を上回る内容が大半を占めている
    • S&P 500構成企業のうち222社が決算を発表済みで、そのうち約84.2%が市場予想を上回った。これは過去4四半期平均の77%を上回る水準である。(LSEG)
  • Nvidia(NVDA:3%↗)
    • 株価は207.04ドルで取引を終え、時価総額は5.03兆ドルという史上初の快挙を達成した。年初来で50%以上上昇しており、AI関連銘柄をけん引している。
  • Caterpillar(CAT:11.6%↗)
    • 第3四半期利益で予想を上回った。
  • Meta(META:8%↘)
    • 第3四半期に、トランプ大統領Big Beautiful Billに関連する約160億ドルの一時的損失を計上。また、2026年の設備投資額は2025年より明確に増加すると述べた。
10//30
  • 3指数は過去4営業日連続で最高値を更新しており、今回の下落はその反動ともいえる。これまでの上昇は決算への楽観と、緩和的な金融政策への期待によって支えられていた。
  • 市場では依然として、前日にパウエルFRB議長が発したタカ派な発言への警戒感がくすぶっている。米中の通商合意は両国間の緊張をやや和らげたものの、市場はすでにその程度の改善を織り込んでいた。
    • 米中首脳による貿易合意が発表されたものの、株式市場への押し上げ効果は限定的だった。トランプ大統領は、中国が大豆輸入の再開やレアアースの輸出継続、フェンタニル取締りを約束したことを条件に、一部関税の撤廃に同意した。
    • 「良いニュースが出ても市場が反応しないときは、それがすでに織り込み済みということだ。」(Brandywine Global)
  • Meta(META:11.3%↘)
    • 同社は第3四半期の営業利益率が40%に低下したと発表。
    • 同社が来年の設備投資についてかなり大きな増額を見込むと発表したためで、その背景にはAIへの積極的な投資がある。
  • Microsoft(MSFT:2.9%↘)
    • 同社は7〜9月期(第1四半期)の設備投資が過去最高の約350億ドルに達したと報告し、今後さらに支出が増える見通しを示した。
    • 「AI需要が供給能力を大きく上回っている。」(Microsoft
    • 年初来の大幅上昇を踏まえれば、今回の売りは利益確定の範囲ともいえる。
  • Alphabet(GOOGL:2.5%↗)
    • 広告とクラウド事業の堅調な伸びが予想を上回る決算を支えた。
  • 「投資家はリスク回避姿勢を強めている。S&P 500は過去最高値圏にあるが、テクノロジー企業の決算は高すぎる期待に届かなかった。Microsoft、Meta、Alphabetのいずれも、AI投資からのリターンがいつ得られるのかを明確に示せなかった。また、注目されていたAppleAmazonの決算でも明確な見通しは得られないだろう。政府閉鎖による経済指標の空白や、FRBタカ派姿勢への懸念がある。」(248 Ventures)
  • 「(昨夜の決算群をスタンリーカップ第7戦に譬えて)長い待機期間と神経をすり減らす展開の末に訪れる総取り決戦。スター選手がGretzkyのように活躍するのか、それともプレッシャーの中で濡れた新聞のように崩れるのか(例えはファン各自で)。だがMSFT、GOOG、META、Samsung、NOW、KLACの決算と経営陣コメントをすべて踏まえた私の結論は――これまでと同じ展開が続くだろうというものだ。勝者は勝ち続け、出遅れ銘柄は依然として遅れ、そしてAI向けの計算能力を増強するための設備投資(CAPEX)はさらに拡大する。繰り返されるパターンだ。」(Mizuho
  • 市場は“ちょうど良い温度感”を保ったゴルディロックス経済への過度な楽観と、現実とのズレに向き合い始めている。
  • これまでに決算を発表したS&P 500構成銘柄222社のうち、84.2%が予想を上回る利益を計上している。これは過去4四半期の平均(77%)を上回る。(LSEG)
  • Cardinal Health(CAH:15.4%↗)
    • 通期利益見通しを上方修正した。
  • Chipotle Mexican Grill(CMG:18.2%↘)
    • 関税とインフレによるマージン圧迫が響き、通期売上予想を引き下げた。
10//31
  • この流れは、株式市場にとって絶好調の連続期をさらに伸ばすものとなった。
    • 10月の月間では、S&P 500が2.27%上昇し6ヶ月連続の月間上昇(2021年8月以来の最長記録)を達成。Nasdaq Compositeは4.7%上昇し、7ヶ月連続の上昇(2018年初以来の最長)を記録。DJIAも2.5%上昇し、6ヶ月連続の月間上昇で2018年1月以来の最長記録となった。
    • この間に、テクノロジー株中心の指数は37%も上昇している。
  • Amazon(AMZN:9.6%高)
    • 四半期売上高見通しが市場予想を上回った。
    • 取引時間中に史上最高値を更新。
  • Apple(AAPL:0.4%↘)
    • 年末商戦期のiPhone販売見通しは市場予想を上回ったものの、CEOのTim Cook氏が供給制約の懸念を示した。
  • 「きょうのテーマは昨日とほぼ同じだ。予想を上回る好決算が出ている一方で、FRBからはややタカ派的なコメントが出ている。」(D.A. Davidson)
  • 「投資家は利下げ期待で少し先走りすぎたかもしれない。」(Allspring)
  • 一部の食品小売株は下落した。政府機関の閉鎖が続くなか、連邦の食料支援(SNAP)給付が11月に停止する可能性が意識されたためだ。
    • Kroger(KR:2.8%↘)、Conagra Brands(CAG:1.3%安↘)、Walmart(WMT:1%↘)
    • 連邦地裁が相次いで、政府は閉鎖期間中でも数百万人分の食料支援を停止できないと判断し、政府に対して予備費の活用を命じた。
  • 「(政府閉鎖により)政府がデータを出してくれない分、投資家は企業の決算を手がかりに経済の方向性を見ている。」(Bokeh Capital)
  • Warner Bros Discovery(:8.7%急騰↗)
    • Netflixが同社のスタジオおよびストリーミング事業の買収を検討している。(Reuters)
  • Netflix(NFLX:2.7%↗)
  • Western Digital(WDC:8.7%↗)
    • 四半期利益見通しが市場予想を上回り、史上最高値を更新した。
  • First Solar(FSLR:14.3%↗)
    • 第3四半期売上が予想を上回った。
  • 第3四半期決算を発表したS&P 500構成企業315社のうち、83.2%がアナリスト予想を上回った。これは過去平均の約67%を大きく上回る水準だ。(LSEG)
  • 実績と未発表企業の予想を合わせたブレンデッド利益成長率は、第3四半期全体で13.8%の増益となっている。
    • セクター別では、テクノロジーが25.3%増でトップ。続くのは不動産で同率の25.3%、3位は金融で22.2%。利益が減少したのは唯一、エネルギーセクターで3.7%の減益にとどまった。
  • この好調な決算シーズンは、米政府のシャットダウン懸念、経済指標の不足、関税を巡る不透明感という逆風の中で進行している。だが改めて思い出させてくれるのは、株価の原動力は結局のところ「企業の利益」であるという事実だ。現時点では、企業部門はフルスロットルで稼働している。

2.主要経済指標

2-1.マーケット記事斜め読み(②経済指標関連)

10/28
  • ADP雇用報告の速報値では、10月11日までの4週間で米経済が平均1万4,250人の雇用を創出したと推計された。ただし、Amazonなどの大企業によるレイオフ発表がその好材料を相殺しているとアナリストは指摘する。

2-2.マーケット記事斜め読み(③FRB関連)

10/27
  • 先週のインフレ指標の鈍化を受け、市場はFRBが水曜日に0.25%の利下げを実施するとほぼ確信している。投資家は、政府閉鎖の影響で経済指標の発表が遅れるなか、Powell議長の発言から12月の追加利下げの可能性を探る構えだ。
10/28
  • FOMCは水曜日の午後に金融政策の決定を発表する予定だ。市場ではFF金利を0.25ポイント引き下げ、3.75〜4%とする見方がほぼ織り込まれている。
  • 次の政策判断については不透明感が残る。
    • 市場は現在の4〜4.25%から1.25ポイントの利下げを予想しているが、政策当局者は必ずしも同意していない。(FedWatch)
    • 「トレーダーは金利が滑らかに低下していくと見ているが、FRB当局者はもっと複雑な経路を描いている。つまり、ゆっくりとした利下げと長い据え置き期間を交互に挟む形だ。このギャップが投資家の失望や、来年の市場の不安定要因になりかねない。」(Barron's)
    • FRB当局者の中央値予測では、2026年末の政策金利は3.4%とされており、2025年の予想よりわずか0.2ポイント低いだけ。市場が見込む2.75〜3%とは大きくかけ離れている。
10/29
  • 市場序盤では、FRBが予想通り0.25%の利下げを行い、加えて米国債の限定的な買い入れ再開を表明したことで、株価は一時上昇した。しかし、米連邦政府の一部閉鎖による政策判断への制約も指摘されている。FRBは今回、政策金利FF金利)の誘導目標を3.75%~4.00%に引き下げ、年内では2度目の金融緩和となった。
  • 午後2時に発表された政策決定の後、パウエルFRB議長は記者会見で、株式市場の動向、人工知能(AI)投資の急増(バブルではないと明言)、労働市場の現状(まだ大きな悪化は見られない)、そして政府機関の一時閉鎖の影響(短期的にとどまる可能性が高い)など、多岐にわたる質問に答えた。
  • パウエルFRB議長の会見後、市場では12月追加利下げの織り込み度が低下し、確率は90%から71%へ下がった。
  • FRBは今回の利下げをかなり前から市場に示唆していた。むしろ注目は、2時発表に先立ち量的引き締め(QT)と呼ばれるバランスシート縮小策を終了するかどうかに集まっていた。結果として、FRBはQTを打ち切り、12月1日をもって保有証券の縮小を終了すると発表した。
    • 会合とその後の記者会見は、事前予想とは裏腹に緊張感ある展開となった。新任のミラン理事は再び0.5ポイントの利下げを主張して反対票を投じ、一方でカンサスシティ連銀のシュミット総裁は今回は利下げ不要との逆方向の反対票を投じた。
    • シュミット総裁は今月初めからインフレ抑制でFRBの信認を維持する必要があると述べており、今回のスタンスは予兆があった。
      • 「インフレが依然として高止まりしている以上、金融政策は需要成長を抑制し、供給拡大の余地を確保することで物価圧力を和らげるべきだ。」(シュミット総裁)
10/31
  • 「12月の利下げは確定的ではない.。」(アトランタ連銀のボスティック総裁)
  • 「インフレが依然として高すぎるとして水曜の利下げに反対した。」(クリーブランド連銀のハマック総裁)
  • 12月利下げの織り込み確率は金曜時点で65%に低下。前日の72.8%、1週間前の91.7%から大幅に後退した。(FedWatch)

3.投資状況


【ある長期投資家の独白】
10月の決算を通じて、S&P 500企業の8割超が予想を超える決算を発表し、利益成長率も前年比で二桁増加となりました。これは企業の本業収益が拡大していることを示します。AI関連の設備投資(CAPEX)拡大が引き続き進んでいますが、中長期の利益成長に繋げられるかがポイントですね。
パウエルFRB議長のタカ派発言がありましたが、すでに市場は緩和方向を織り込んでいるようです。今後は「利下げ回数」ではなく「金利環境が企業の利益成長とどう共存できるか」が焦点となりそうですね。
Mag7はS&P 500の時価総額の35%を占めており、引き続き市場全体を牽引しています。一方、生活必需品や素材などディフェンシブセクターは芳しくありません。中には安定な収益を上げているのに、割安な銘柄もあるかもしれませんね。

  • 購入:なし
  • 売却:なし
  • 配当金:なし

【過去記事】

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

では、また。

 

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ここに記載した情報はあくまでも個人のためのものであり、投資のための助言を目的とするものではありません。掲載している情報は、可能な限り正確を期すよう努めておりますが、誤情報であったり、古くなっている場合があります。また、当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますことをご了承ください。

【米国株】週間米国株式市場まとめ(No. 0168:2025/10/20~10/24)

堅調な決算が続き、高まる利下げ期待の中、どこに注目すればいいのか?

こんにちは、Gufo2/5です。
先週の米国株式市場は、月曜日、地域銀行の信用リスク懸念が後退、金融株とハイテク株が主導し、主要3指数とも大幅に上昇しました。火曜日、決算シーズンが本格化するなか、主要3指数はまちまちの展開で取引を終えました。水曜日、まちまちな企業業績や対中輸出制限の報道が投資家心理を冷やし、主要3指数とも下落して取引を終えました。木曜日、まちまちな企業決算と変化する地政学的懸念の中、主要3指数とも上昇して引けました。金曜日、予想を下回るインフレ指標と堅調な企業決算を受け、主要3指数がそろって史上最高値で取引を終えました。

今週はFOMCが予定されています。主要企業の決算発表が続きます。強気な相場が続くのか気になるところです。

1.米国主要株価指数米国債金利

1-1.マーケット記事斜め読み(①市場関連)

10/20
  • 幅広い銘柄が買われ、主要3指数はそろって大幅高で取引を終えた。
  • S&P 500は過去最高の6753.72にほぼ並び、10月9日の6735.11をわずか0.02ポイント上回った。S&P 500は、トランプ大統領が中国への関税引き上げを警告し、市場が急落したあの日の水準にほぼ戻ったということだ。
    • 「全体的にしっかりとした上昇で、市場にあまりネガティブな要素は見当たらない。金融株の一角では安堵感が出ており、先週の下落はやや行き過ぎだったとの見方が広がっている。市場のムードとしては、すべてが再び順調だという雰囲気ですね。」(Murphy & Sylvest)
  • 第3四半期の決算シーズンはいよいよ本格化している。
    • アナリストはS&P 500構成企業の第3四半期利益が前年比9.3%増と予想しており、10月初め時点の8.8%増予想から改善している。
    • 「企業が懸念していた税制改革や関税問題などの不確実性が一時的に後退し、利益と収益性に集中できる環境になった。」(Keator Group)
    • 「ファンダメンタルズの安定的なシグナルが継続的に出ることは、市場の安定性を支える上で過小評価されています。過去数四半期の決算動向を見れば、今回の決算シーズンも市場を安定化させる可能性があります。過去3四半期の決算シーズンでは、S&P 500企業の利益成長率が、期初予想を平均7.3ポイント上回った。」(Ritholtz Wealth Management)
  • 「政府閉鎖は今週中に終結する可能性が高い。」(ホワイトハウスのハセット経済顧問)
    • 政府閉鎖は20日目に突入し、統計データの発表が止まるデータ・ブラックアウトにより、投資家や政策担当者は手探りの状況が続いている。しかし、労働省は例外的に今週金曜日に9月の消費者物価指数(CPI)を発表する予定で、これがインフレ動向やトランプ大統領の対中関税が物価上昇にどの程度影響しているかを占う手がかりとなる見通しだ。
  • 米中間の貿易摩擦をめぐっては、トランプ大統領が中国が大豆など主要農産物の購入を再開すれば、関税の一部を緩和する可能性を示唆した。
  • Amazon Web ServicesAWS)に関連する障害が発生し、複数の主要サイトやサービスが影響を受けたが、午後には復旧した。
  • Boeing(BA:1.8%↗)
    • 米連邦航空局(FAA)が737MAXの月産を42機まで引き上げることを承認した。
  • WeightWatchers(WW:9.3%↗)
    • Amazonと提携し、減量薬の配送事業を行うと発表した。
10/21
  • 第3四半期の決算シーズンは本格化しており、大手企業が総じて堅調な業績を発表している。ただし、主要株価指数が史上最高値近辺にあり、バリュエーションも高水準にある中では、良好な決算だけでは投資家のリスク選好を支え続けるには不十分かもしれない。
    • 「今は投資家心理がやや迷いの局面にあります。強い確信を持つ人が少ない。それが、決算のサプライズに対する市場の反応の鈍さに表れています。企業の利益率はやや改善しており、関税のコストを消費者や輸入業者へ転嫁している可能性がある。ただ、今日の動きからは、市場に明確な方向感があるとは言えない。」(Simplify Asset Management)
    • バリュエーションは依然として市場の反応を左右する重要な要素だ。指数が過去最高水準にある以上、投資家の期待値は高く、過度な熱狂を抑える働きもあり、その結果、S&P 500はこの日横ばいにとどまった。
  • General Motors(GM:14.9%↗)
    • 業績見通しを上方修正し、関税の影響予想を引き下げた。
  • Coca-Cola(KO:4.1%↗)
    • 堅調な消費者需要に支えられ、予想を上回る決算を発表した。
  • 3M(MMM:7.7%↗)
    • 高利益率製品への注力とコスト管理が奏功し、通期見通しを引き上げた。
  • 航空宇宙・防衛関連企業(LMT、NOC、RTX)も、軍需の堅調な需要を背景に業績見通しを引き上げた。
  • Netflix(NFLX:5.8%↘)

    • 決算が市場予想を下回った。

  • これまでにS&P 500構成銘柄のうち78社が決算を発表しており、そのうち87%がウォール街の予想を上回った。
    • 第3四半期のS&P 500全体の利益成長率は前年同期比9.2%と見込まれており、10月1日時点の8.8%予想を上回っている。(LSEG)
    • 「政府閉鎖により経済データの公表が遅れる中で、企業決算が主役となっています。S&P 500構成銘柄のうち85%が予想を上回る結果を出しており、これは良いニュースです。売上と利益の伸びが堅調で、これがバリュエーションの維持を支えています。この市場は、過度な期待ではなく、強固な企業の基礎体力によって動いているのです。モメンタムやバリュエーション拡大によって市場が支えられているという見方もありますが、実際には利益成長が株価を牽引しています。」(Global X)
  • Warner Brothers Discovery(WBD:11.0%↗)
    • 複数の買収提案を受け、事業売却を検討していると発表。最終的にはParamountとSkydanceからの提案を拒否した。
    • メディア業界の再編が再び動き出している。
  • 企業業績を取り巻くリスク要因として貿易問題は依然としてくすぶっている。
    • トランプ大統領と中国の習近平国家主席は今月末、韓国で会談する予定だ。今週にはベッセント財務長官が中国の何立峰副首相と会談し、首脳会談の実現と関税のさらなる引き上げ回避に向けた調整を行う見通しだ。 
    • 「中国の習近平国家主席との間で公正な取引に達することを期待している。」(トランプ大統領
    • 過度な期待は禁物だ。たとえ首脳会談が実現しても、関税や輸出規制といった投資家が最も懸念する問題が大幅に改善する見込みは低い。実際、JPMorganの顧客調査では、44%が現状維持、34%が関税はさらに上昇すると回答している。」(Barron's)
10/22
  • 新たに検討されている輸出制限は、ノートパソコンからジェットエンジンまで幅広い製品を対象に含む可能性があり、中国が最近実施したレアアース輸出規制への対抗措置の一環とされる。米中間の貿易摩擦は、世界2大経済の間でさらに緊張を高める展開となった
    • 「米中貿易問題は続いており、トランプ・習会談まではこの状態が続くだろう。加えて、一部のハイテク企業の決算が予想を下回ったことも重しとなった。それでも、今期の決算シーズン全体としてはおおむね良好で、株価は史上最高値圏からそう遠くはない。こうした1日の動きだけで投資家がポートフォリオを見直す必要はないだろう。」(U.S. Bank Wealth Management)
  • 「午後の売りが市場の中でも特に投機色の強い分野に集中していた。高ベータ株は今年最大級のドローダウン(下落局面)を記録したが、市場全体としては午後にかけて安値からやや戻した。取引終盤に押し目買いの動きも見られた。今回の売りの多くは、アクティブ運用者ではなくクオンツ取引や個人投資家によって引き起こされた可能性が高い。」(Mizuho
  • 「10月14日以降、投機的な市場セグメントが明らかに苦戦している。Russell 3000の中で8月1日から10月14日までに最も好調だった上位10%の銘柄群は、その後平均で5.7%下落。さらに、その期間に150%以上上昇した銘柄群は平均20%も下落している。下落が目立つのはテーマ性の高い投機株原子力、量子コンピューティング、暗号資産、宇宙関連)だ。少なくとも今のところ、最も投機的な銘柄群にとっては音楽が止まり、パーティーが終わったように見える。音楽が再び鳴り出す時期は誰にも分からないが、相場はいつも高く上がるほど、落ちる時は激しいものだ。」(Bespoke Investment Group)
  • Netflix(NFLX:10.1%↘)
    • 四半期利益が市場予想を下回った。
    • 割高感への懸念が浮上した。
  • Texas InstrumentsTXN:5.6%↘)
    • 売上高と利益の見通しが市場予想を下回った。
  • Philadelphia Semiconductor Index(SOX:2.4%↘)
    • この指数は月曜日に史上最高値を付けていた。
  • Tesla(TSLA:0.5%↘)
    • 税控除の期限切れを背景に米国内のEV販売が伸び、予想を上回る売上高を報告した。
  • Intuitive Surgical(ISRG:13.9%↗)
    • 第3四半期は好決算だった。
  • AT&T(T:1.9%↘)
    • 予想を上回る携帯契約者の純増を報告した。
  • 第3四半期の決算シーズンは折り返しを迎えており、報告を終えた企業のうち86%が市場予想を上回っている。
    • S&P 500企業の第3四半期の利益成長率は前年同期比9.3%と、10月1日時点の8.8%予想から改善している。(LSEG)
    • 「高いバリュエーションを維持するには市場の期待に応える必要がある。多くの企業はこれまでその期待を満たすか、上回っている。しかし、期待を下回った企業に対しては投資家の忍耐は薄い。」(U.S. Bank Wealth Management)
10//23
  • トランプ大統領が来週のアジア歴訪の一環として、中国の習近平国家主席と会談すると確認した。(ホワイトハウス
    • 貿易摩擦が激化する中、米中の緊張をやや和らげる内容と受け止められた。
    • 「トランプ・習会談の確認は、明らかにポジティブなニュースだ。貿易をめぐる投資家心理はここ最近、上がったり下がったりを繰り返していたが、今回はその改善のきっかけになるだろう。全体的に企業決算は非常に堅調で、ファンダメンタルズの面からも市場を支えている。」(Horizon Investments)
  • トランプ大統領はロシアの石油会社に対する制裁を発表し、ウクライナ侵攻をめぐってモスクワへの圧力を一段と強める政策転換を示した。これにより地政学的リスクが高まり、原油価格は急騰した。
    • Exxon Mobil(XOM:1.1%↗)、Chevron(CVX:0.6%↗)
  • Tesla(TSLA:2.3%↗)
    • 営業利益は16億ドルと、前年同期比で40%減少。市場の予想(約18億ドル)を下回った。
    • 「Teslaの株は、常識的な見方が下がると思うときに上がるという動きをよく見せる。」(Barron's)
  • IBMIBM:0.9%↘)
    • 好決算だが、主要クラウドソフト事業の成長鈍化が明らかになった。
  • Molina Healthcare(MOH:17.5%↘)
    • 通期利益見通しを大幅に引き下げた。
  • Honeywell(HON:6.8%上昇)
    • 航空宇宙事業の強い需要を背景に通期見通しを引き上げた。
  • American Airlines(AAL:5.6%上昇)

    • 通期利益予想を上方修正した。

  • Southwest Airlines(LUV:6.3%↘)

    • 四半期黒字と過去最高の売上を発表した。

  • T-Mobile(TMUS:3.3%↘)
      • 加入者数がアナリスト予想を上回った。
  • Dow(DOW:13.0↗)
    • コスト削減と販売量の増加が化学品価格の低迷を相殺し、予想より小幅な赤字にとどまった。
  • Valero Energy(VLO:7.0%↗):独立系精製会社
    • 予想を上回る決算を発表した。
  • S&P 500構成企業のうち、これまでに第3四半期決算を発表したのは全体の4分の1強。そのうち86%が市場予想を上回る結果となった。アナリストはS&P 500の第3四半期利益が前年同期比で9.9%増と予想しており、10月1日時点の8.8%増見通しから上方修正されている。(LSEG)
  • 「トランプ政権が量子コンピューティング企業数社と、政府資金提供と引き換えに株式取得を検討している。」(Wall Street Journal
10//24
  • 市場待望のインフレ指標が予想を下回ったことで株価が押し上げられた。S&P 500とNasdaq Compositeはともに8月以来最大の週間上昇率を記録し、DJIAは6月以来最大の週次上昇幅を示した。
    • DJIAは1%上昇し、史上初めて47,000ドルの大台を突破した。わずか31日前に46,000ドル超えを祝ったばかりであることを考えれば、これはかなりの勢いだ。
    • S&P 500は年内34回目、Nasdaqは33回目、ダウは13回目の最高値更新となった。
  • 「インフレ面での朗報だ。穏やかなCPIの結果によって、来週の利下げ、さらには12月にも追加利下げの可能性が開かれた。」(Carson Group)
  • 「インフレ率は今後1年を通じてさらに緩やかになるとみています。インフレ期待を示すブレークイーブンレートもその兆候を示しており、FRBは利下げバイアスを維持できるでしょう。現在の物価上昇圧力の一部、たとえば関税などは一時的な要因とみなされ、中央銀行はそれを無視できるはずです。」(BlackRock)
    • 今月のCPIが公表されたのは、社会保障給付の年次生活費調整(COLA)が法律で11月1日までに発表される必要があるためだ。(Barron's)
    • 責任ある予算委員会(CRFB)の試算によると、2026年のCOLAは2.8%となる見通しで、2025年の2.5%からやや上昇するものの、依然として多くの退職者が必要とする水準には届かない。
  • 第3四半期の決算シーズンは本格化しており、S&P 500構成企業のうち143社がすでに決算を公表している。アナリストは、S&P 500企業の第3四半期利益が前年同期比で10.4%増になると予想しており、10月初め時点の8.8%増予想から大きく上方修正された。(LSEG)
    • 「今回の決算シーズンは非常に好調なスタートを切った。企業の87%が利益で予想を上回り、83%が売上でも上振れた。これまでの株価上昇を裏付ける内容であり、年末にかけてのさらなる上昇の可能性も示唆している。」(Carson Group)
  • Alphabet(GOOGL:2.7%↗)
    • 報道によると、AIスタートアップのAnthropicが最大100万個のGoogle製AIチップをClaudeチャットボットの訓練に活用する契約を拡大した。
  • Coinbase Global(COIN:9.8%↗)
    • JPMorganが投資判断を中立からオーバーウエートに引き上げた。
  • Deckers Outdoor(DECK:15.2%↘)
    • 通期売上見通しが市場予想を下回った。
  • Ford(F:12.2%↗)

    • 第3四半期の利益が予想を上回った。

  • General Dynamics(2.7%↗)

    • 予想を上回る決算となった。

       

  • Alaska Air(ALK:6.1%↘)

    • 通期見通しを引き下げた。

  • 来週、韓国で予定されているトランプ大統領と中国の習近平国家主席の会談が、インフレ懸念を和らげる契機になることが期待されている。両国が関税を引き下げる方向で合意できるかどうかに注目が集まる。トランプ大統領は中国への関税を3桁に引き上げる可能性を示唆しているだけに、成果が問われる場面だ。

2.主要経済指標


2-1.マーケット記事斜め読み(②経済指標関連)

10/24
  • 労働省が発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年比3%上昇と、依然として高水準ではあるものの、アナリスト予想の3.1%をわずかに下回った。前月比でも0.3%上昇と、市場予想の0.4%を下回る伸びにとどまった。
  • ミシガン大学の消費者信頼感指数によると、10月の消費者心理は前年同月比で24%低下した。多くの人々が現状の経済に対して懸念を強めている。1年先のインフレ期待は4.6%とわずかに低下したものの、長期的な期待は3.9%に上昇した。

2-2.マーケット記事斜め読み(③FRB関連)

10/21
  • エコノミストの予測では、FRBは年内にさらに2回、計0.5%ポイントの利下げを実施すると見られている。ただし、2026年以降の政策運営については見方が分かれている。(Reuters)
10/24
  • CPIにより、関税によるインフレ圧力への懸念が和らぎ、来週のFOMCで0.25%の利下げがほぼ確実視される展開となった。

3.投資状況

【ある長期投資家の独白】
第3四半期の決算シーズンも本格化してきましたね。S&P 500企業の約9割が予想を上回る決算を発表し、利益成長率も10%前後と堅調です。今のところ関税の影響は出ておらず、企業の実力による健全な株価上昇となっています。また、CPIも鈍化しFRBの利下げ期待も高まっているので、長期金利低下からグロース株と金利敏感株の動きもフォローしておきたいところです。長期投資家としては、利益成長が続く企業を軸に据えて、リスクを抑えつつリターンを確保していきたいですね。

  • 購入:なし
  • 売却:なし
  • 配当金:なし

【過去記事】

最後まで読んでいただきありがとうございます。

では、また。

 

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