
AmazonとOpenAIの提携は市場に何をもたらすのか?
こんにちは、Gufo2/5です。
先週の米国株式市場は、月曜日、短期金融政策の方向性が一段と不透明な中、AI関連取引が主因となり、S&P 500とNasdaq Compositeがともに上昇して取引を終えました。火曜日、大手銀行の警告で割高感への懸念が一段と強まり、主要3指数は大幅に下落して取引を終えました。水曜日、好調な企業決算と予想を上回る経済指標により、主要3指数は反発しました。木曜日、高まる経済的不確実性と過熱感のあるバリュエーション懸念が再燃し、主要3指数とも下落して取引を終えました。金曜日、経済不安、連邦政府の過去最長の閉鎖、高止まりするテクノロジー株のバリュエーションなどで、Nasdaq Compositeが下落して引け、S&P 500とDJIAはわずかながら上昇に転じました。
今週はCPI、PPI、小売売上高の発表が予定されています。長引く政府閉鎖もようやく解決の兆しが見え、株価反転となるのか気になるところです。
1.米国主要株価指数&米国債金利


1-1.マーケット記事斜め読み(①市場関連)
11/03
- きょうもまた、AI関連株が市場をけん引した。S&P 500をわずかに押し上げる程度ではあったが、数少ない機能しているテーマだった。
- Amazon(AMZN:4.0%↗)
- 同社がOpenAIと総額380億ドル規模の提携を結び、今後7年間にわたり、OpenAIのAI業務を支えるインフラとしてAWSのクラウド基盤上でAIワークロードを運用・拡張できるようにすることを発表した。
- 「AWSが依然として最大のクラウドサービスプロバイダーであることを踏まえれば、OpenAIがAmazonと提携するのはいつかではなく当然のことだった。(その上で)これまでAmazonに対する弱気論は、他のハイパースケーラーが主要AI案件を相次いで獲得する中で、AWSがその輪に入っていない点に集中していた。」(William Blair)
- OpenAIとの提携に加え、前四半期に見られたAWSの成長加速、さらに10月下旬にAnthropicがAWSのTrainiumチップの利用拡大を決めたことにより、こうした弱気シナリオは崩れつつある。
- Nvidia(NVDA:2.2%↗)
- トランプ大統領と中国の習近平国家主席が、米中間の貿易戦争を緩和するための合意に達した。(ホワイトハウス)
- 「Amazonの契約やその他のM&Aニュースが市場を押し上げています。さらに週末には、中国との貿易関係やFRB当局者のハト派的な発言など、ややポジティブなニュースもありました。しかし、この相場はほぼ一貫して大型テックや半導体銘柄が主導していることは間違いありません。」(Baird)
- Kimberly-Clark(KMB:14.6%↘)
- 同社がTylenolメーカーのKenvueを400億ドル超で買収することを明らかにした。
- Kenvue(KVUE:12.3%↗)
- 先週の予想通りの利下げを経て、経済指標の欠如により、FRBの次の一手は一層見通しづらくなっている。
- 第3四半期の決算シーズンは佳境に入り、S&P 500構成企業の300社超が決算を発表。そのうち83%がアナリスト予想を上回った(LSEG)
11/04
- Morgan StanleyとGoldman SachsのCEOが高騰するバリュエーションへの懸念を示し、市場バブルの可能性に言及したことで投資家心理が悪化。AIブームを背景にS&P 500が史上最高値を更新し続けてきただけに、過熱感が意識された。
- 主要3指数はいずれもマイナス圏に沈み、S&P 500とNasdaq Compositeはいずれも10月10日以来、最大の下げ率を記録した。
- JPMorgan ChaseのCEO、Jamie Dimon氏は先月、地政学的緊張などをその要因に挙げ、今後6ヶ月から2年の間に大幅な株価調整リスクが高まっていると警告していた。
- 「投資家は久しぶりにバリュエーション(株価評価)を気にし始めたようだ。多くの企業の株価はかなり割高で、決算も良好ではあったが、非常に良いとは言えなかった。つまり、利益確定売りの材料になったということだ。」(Horizon Investment Services)
- 「ここ1週間ほどは、AI関連以外の株が下がっており、S&P 500を支えていたのはAI銘柄だけだった。そこにAI関連株の上昇に対して警戒を促すニュースが立て続けに出たわけです。今回の下げは短期的な反応(knee-jerk selling)にすぎない可能性があり、これが大きな下落相場の始まりとは思わない。市場はAI関連のニュースに引き続き前向きだ。ただし、AIはバブルなのか否かという議論が決着していない以上、こうした一時的な警戒局面は繰り返されるだろう。」(Sevens Report Research)
- リスク資産は軒並み打撃を受け、AI関連株だけでなく、暗号資産やミーム株、さらにはクルーズ船株まで急落。一方、債券市場では安全資産を求める動きが広がり、国債利回りは低下した。
- 「株価は下がることもある。過去8年間で最長となる7ヶ月連続の上昇を経て、今回の調整は単なる自然なローテーションや利益確定の動きかもしれない。」(Mizuho)
- 議会の対立で政府機関の閉鎖(シャットダウン)が過去最長記録に迫っており、政府の公式データが不足している。重要な経済指標が欠ける中で、FRB高官の発言が細かく分析され、データ依存の中央銀行が今後どのように金融政策を形成していくかが探られている。
- Palantir Technologies(PLTR:8.0%↘)
- 「ソフトウェア企業として史上最高の決算」(同社CEOのAlex Karp氏)
- 予想を上回る第4四半期の売上見通しを示した。
- 今年に入り株価は152%以上上昇している。
- Uber(UBER:5.1%↘)
- 四半期決算で利益が予想を下回った。
- Henry Schein(HSIC:10.8%↗)
- 通期利益見通しを上方修正した。
11/05
- 幅広い銘柄に買いが入り、主要3指数すべてが上昇。
- 「資産価格はかなり高く、相場が下落するリスクは常にある。」(JPMorgan Chase CEO、Jamie Dimon氏)
- 「バリュエーションへの懸念は極めて妥当であり、短期的に10~15%の調整はいつ起きてもおかしくない。ただし、投資家の間では下げても一時的で、すぐに戻るという心理があり、押し目買いを続ければ心配ないというムードも根強い」(Wealthspire Advisors)
- 米最高裁は、トランプ大統領による市場を揺るがした関税措置の合法性について疑問を呈し、その権限の範囲を試す世界経済的に重要な訴訟となった。
- この裁判の焦点は、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act)を不適切に用いて、米国の貿易相手国に関税を課したかどうかという点にある。
- 最終判断までは時間がかかる見通しだが、判事たちの質疑応答を見る限り、トランプ大統領の関税政策に対して疑問を投げかける内容が多かった。もっとも、質問内容が必ずしも最終投票行動を示すわけではない。
- 報道によると、注目すべきやり取りの一つで、最高裁のロバーツ長官(共和党指名)は、リベラル派判事と歩調を合わせるように関税は課税の一形態であると主張した。政府側は関税は大統領の外交権限の一部であり、課税権は大統領ではなく議会にあると反論している。
- 「確かに関税は外国との取引に関係するが、実際の仕組みは米国民に課す税であり、それは常に議会の中核的な権限だ。議会の明確な委任なしに関税を発動するのは問題だ。」(最高裁のロバーツ長官)
- 同じく共和党指名のバレット判事とゴーサッチ判事も、政府側に厳しい質問を投げかけた。
- 最高裁が関税を違法と判断しても、トランプ政権には他の手段が残されており、一定の制約はあるものの、輸入品に新たな課徴金を課す余地は残る。
- 回、関税を緩和するのはトランプ大統領自身ではないかもしれないが、もし次の政権が関税を引き下げれば、市場に再び反発の流れが生まれる可能性がある。
- 中国政府は、米国製品に対する報復関税の一部を撤廃すると発表したが、トランプ大統領が「解放の日」と呼んだ4月2日以降に課された10%の関税は維持。米国産大豆には依然として13%の関税が課される。
- 議会での膠着状態により、米政府の史上最長の閉鎖が続いており、投資家やデータ依存のFRBは民間部門の統計に頼らざるを得ない状況だ。
- 第3四半期の決算発表は終盤戦に入りつつあるが、S&P 500構成企業のうち379社が決算を公表し、そのうち83%が市場予想を上回った。(LSEG)
- アナリストは、S&P 500全体の7~9月期の利益成長率を前年比16.2%と予想しており、これは期初の8.0%から大きく上方修正されている。
- 「今回の決算期は、売上・利益・ガイダンスいずれも予想以上に堅調だ。雇用統計の弱さや関税の影響不透明感がある中でも、企業の底力は示されている。11月と12月はもともと株式市場にとって好調な月であり、この追い風が続く限り、悪材料で流れが変わるとは考えにくい。」(Chase Investment Counsel)
- McDonald’s(MCD:2.2%↗)
- 既存店売上高の予想を上回り、割安メニューが需要を押し上げた。
- Match Group(MTCH:5.2%↗)
- 第4四半期売上見通しが市場予想を下回った。
- Amgen(AMGN:7.8%↗)
- 利益が上振れた。
- Bank of America(BAC:2.0%↘)
- 収益目標を引き上げた。
- Humana(HUM:6.0%↘)
- 第3四半期決算発をした。
- Johnson Controls(JCI:8.8%↗)
- 2026年の利益見通しが予想を上回った。
- Super Micro Computer(SMCI:11.3%↘)
- 業績に対する失望が高まった。
11/06
- 労働市場の弱いデータが投資家心理を冷やし、過去数ヶ月にわたる相場上昇を牽引してきたAI関連株が軟調。株式市場全体に売りが広がる一方で、債券への資金流入が加速した。
- 第3四半期の決算シーズンは終盤に入り、S&P 500構成銘柄のうち424社が発表を終えた。そのうち83%が市場予想を上回る業績を報告している(LSEG)
- アナリストは現在、S&P 500の7~9月期の利益成長率を前年同期比16.8%と予想しており、四半期初に予想されていた8.0%から大きく上方修正された。
- DoorDash(DASH:17.5%↘)
- 経費増加によって第3四半期の利益が市場予想を下回った。
- Elf Beauty(ELF:35.0%↘)
- 通期の売上・利益見通しを下方修正した。
- Snap(SNAP:9.7%↗)
- 第3四半期の売上が予想を上回り、Perplexity AIとの提携を発表した。
- 政府閉鎖はすでに40日近くに及び、史上最長となっている。ただし、終息に向かう兆しもわずかに見え始めている。報道によると、一部の民主党議員は妥協案を模索しているが、選挙結果が好調な派閥は医療補助金をめぐって強硬姿勢を続ける構えだ。
- トランプ政権は明日から主要40空港で航空便を10%削減するよう指示を出しており、事態にさらなる圧力をかける狙いとみられる。Delta、American、United、Southwest Airlinesはいずれも、FAAの命令に沿って運航スケジュールを縮小することを確認した。
11/07
- 史上最長となった政府閉鎖をめぐる議会の膠着状態に進展の兆しが報じられた。
- 株価は依然として割高感が強く、FRBの次の利上げ判断も不透明だ。雇用市場も指標によってひどいともそこそことも読める。
- 「データが公表されない中での暗中飛行は投資家に重くのしかかっている。不確実性が一段と増している。企業業績は堅調だが、住宅市場は弱い。明らかに労働市場は軟化しており、投資家はまず売って、後で考えるという姿勢を取っているようだ。」(Carson Group)
- 中国が新たなレアアース輸出ライセンス制度の策定に着手。輸出手続きの迅速化が見込まれるものの、ワシントンが求める全面的な規制撤廃には届かない見通しだ。
- 今回の株価の動きは転換点を示唆している可能性もある。もし市場が政治交渉の進展に反応し始めたとすれば、新しい局面に入ったのかもしれない。
- Microchip Technology(MCHP:5.2%↘)
- 予想を下回る売上見通しを示した。
- Tesla(TSLA:3.7%↘)
- 株主がイーロン・マスクCEOへの史上最大の報酬パッケージを承認した。
- Expedia(EXPE:17.6%↗)
- 法人向け予約事業が堅調だった。
- Block(XYZ:7.7%↘)
- 第3四半期利益が予想未達となった。
- Take-Two Interactive(TTWO:8.1%↘)
- 人気ゲームGrand Theft Auto VIの発売延期(2026年11月予定)を発表した。
2.主要経済指標

2-1.マーケット記事斜め読み(②経済指標関連)
11/03
- 政府機関の閉鎖が続き、公式な経済データが不足する中、ISM(全米供給管理協会)とS&P Globalが発表した購買担当者景気指数(PMI)では、米製造業がトランプ政権の関税政策による不確実性に引き続き苦しんでいることが示された。
11/05
- ADP全国雇用報告によると、10月の民間雇用は4.2万人増と持ち直したものの、依然として一部業種では雇用減少が続いており、労働市場の弱さがうかがえる。
- 別の調査では、米サービス業が拡大を続ける一方で、雇用減や3年ぶりの高水準となるコスト上昇に直面していることが示された。
11/06
- 企業のレイオフが153,074人(前月比183.1%増加)と、過去20年以上で最悪の10月となったと発表した。1月から10月までの累計では、2024年の同期間比で65%増の約110万人に達し、2020年以来の高水準となった。さらに採用計画は2011年以来の低水準に落ち込んでいる。(Challenger, Gray & Christmas:人材アウトプレースメント会社)
- 「Challengerのレイオフデータは失望的な内容で、労働市場がFRBの認識以上のスピードで悪化している可能性を示唆している。これにより、パウエルFRB議長が議論の余地ありと述べた12月利下げ観測が再び織り直されている。」(Simplify Asset Management)
- Challenger社の報告は、人員削減の要因として連邦政府の人員整理やコスト削減を挙げている。人工知能(AI)投資も一因の可能性があるが、多くのエコノミストはAIの影響が労働市場に本格的に表れるにはまだ早いとみている。
- 「AIが主因だとは懐疑的だ。AIの影響を受ける度合いが業種によって大きく異なるにもかかわらず、採用が全体的に鈍化しているのは景気循環的な要因と考える方が自然だ。根本的な需要が弱まる中で企業が人件費削減に動くのは悪循環であり、雇用増の鈍化は所得の伸びを抑えることになる。」(Citi)
- 米国経済は先月9,100件の雇用を喪失し、その大半が政府関連だった。(Revelio Labs:労働市場分析会社)
11/07
- 政府閉鎖の影響は、ミシガン大学が発表した11月の消費者信頼感指数の速報値にも表れた。指数は3年ぶりの低水準に落ち込み、現況判断は調査史上最も悲観的な結果(50.3)となった。全体のセンチメントは、2024年11月(トランプ大統領が2期目に当選した時点)から29.9%低下している。
2-2.マーケット記事斜め読み(③FRB関連)
11/03
- FRB内では意見が分かれている。
11/06
- 政府機関の閉鎖が続くなか、経済指標の発表が途絶しており、データ重視のFRBは今後の短期的な利下げの必要性を見極める状況にある。
11/07
3.投資状況

【ある長期投資家の独白】
AmazonとOpenAIの提携がありましたね。これまで、AmazonはAIブームの中心ではありませんでしたが、クラウドの巨人が漸くセンターに立った感があります。この提携は、Microsoft×OpenAI連合に対抗できる唯一の布陣として、クラウド事業とAI投資の両立で今後10年のクラウド市場・AIエコシステムの勢力図を左右する可能性がありますね。Amazonが提供するサービスだけでなくシステム全般がAIベースとなり、小売AIファクトリーのモデルとなるかもしれません。
政府閉鎖が最長を更新し、経済データの発表がない中、民間データは更なる雇用悪化を示唆しています。また、消費者の信頼感も大きく落ち込んでおり、企業収益に影響が及ぶ可能性もあり、気になりますね。
- 購入:なし
- 売却:なし
- 配当金:なし
【過去記事】
最後まで読んでいただきありがとうございます。
では、また。
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